後遺障害等級認定の方法
自賠責保険における後遺障害とは、「負傷又は疾病(「傷病」といいます。)が治ったときに残存する当該傷病と相当因果関係を有し、かつ、将来においても回復が困難と見込まれる精神的又は身体的なき損状態(「障害」といいます。)であって、その存在が医学的に認められ、労働能力の喪失を伴うもの」と説明されています 。※1
自動車損害賠償保障法施行令の別表第一及び別表第二の後遺障害等級表は、自賠責保険金の支払いの対象となる後遺障害について、後遺障害の等級や程度、保険金額(限度額)を定めています。。
後遺障害等級の認定は、当該交通事故の被害者の障害を、自動車損害賠償保障法施行令の別表第一及び第二に記載してある「後遺障害」に当てはめていく方法により行われるのが原則です(後述の加重、併合、相当を除く。)
障害等級表の内容
自動車損害賠償保障法施行令の別表第一及び第二の基礎となっている障害等級表は、
1 身体をまず解剖学的観点から各部位に分け、
2 それぞれの部位における身体障害を機能の面に重点を置いた生理学的観点から分類しています(「障害の系列」といいます。)。
3 さらに、各障害は、その労働能力の喪失の程度に応じて一定の序列の下に配列されています(「障害の序列」とか「等級」とか言われます。)。
つまり、
(1) 部位
身体障害は、まず解剖学的な観点から次の部位ごとに区分されます。
① 眼 - イ 眼球 ロ まぶた(右又は左)
② 耳 ー イ 内耳等 ロ 耳介(右又は左)
③ 鼻
④ 口
⑤ 神経系統の機能又は精神
⑥ 頭部、顔面、頚部
⑦ 胸腹部臓器(外生殖器を含む。)
⑧ 体幹 - イ 脊柱 ロ その他体幹骨
⑨ 上肢(右又は左) ー イ 上肢 ロ 手指
⑩ 下肢(右又は左) - イ 上肢 ロ 手指
(2) 障害の系列
部位ごとに区分された身体障害は、さらに生理学的な観点から、下記の表の通り35種の系列に細分され、同一欄内の身体障害については、これを同一の系列にあるものとして取り扱います。
(3) 障害の序列
障害等級表は、労働能力の喪失の程度に応じて身体障害を第1級から第14級までの14段階に区分しており、この場合の同一系列の障害相互間における等級の上位、下位の関係を障害の序列といいます。
※ 障害等級表
上記(1)から(3)までの準則により定められた後遺障害等級表は、次のとおりです。 → 障害系列表
部位 | 器質的障害 | 機能的障害 | 系列区分 | ||
眼
|
眼 球
(両眼) |
視力障害
調節機能障害 運動障害 視野障害 |
1
2 3 4 |
||
まぶた | 右 | 欠損障害 | 運動障害 | 5 | |
左 | 同上 | 同上 | 6 | ||
耳
|
内耳等(両耳) | 聴力障害 | 7 | ||
耳かく
(耳介) |
右 | 欠損障害 | 8 | ||
左 | 同上 | 9 | |||
鼻 | 欠損及び機能障害 | 10 | |||
口 | そしゃく及び言語機能障害 | 11 | |||
歯牙障害 | 12 | ||||
神経系統の機能又は精神 | 神経系統の機能又は精神の障害 | 13 | |||
頭部、顔面、頚部 | 醜状障害 | 14 | |||
胸腹部臓器
(外生殖器を含む) |
胸腹部臓器の障害 | 15 | |||
体幹
|
せき柱 | 変形障害 | 運動障害 | 16 | |
その他の体幹骨 | 変形障害
(鎖骨、胸骨、ろく骨、肩甲骨又は骨盤骨) |
17 | |||
上肢
|
上肢
|
右 | 欠損障害 | 機能障害 | 18 |
変形障害
(上腕骨又は前腕骨) |
19 | ||||
醜状障害 | 20 | ||||
左 | 欠損障害 | 21 | |||
変形障害
(上腕骨又は前腕骨) |
22 | ||||
醜状障害 | 23 | ||||
手指 | 右 | 欠損障害 | 機能障害 | 24 | |
左 | 同上 | 同上 | 25 | ||
|
下肢 |
右 | 欠損障害 | 同上 | 26 |
変形障害
(大腿骨又は下腿骨) |
27 | ||||
短縮障害 | 28 | ||||
醜状障害 | 29 | ||||
左 | 欠損障害 | 機能障害 | 30 | ||
変形障害
(大腿骨又は下腿骨) |
31 | ||||
短縮障害 | 32 | ||||
醜状障害 | 33 | ||||
足指 | 右 | 欠損障害 | 機能障害 | 34 | |
左 | 同上 | 同上 | 35 |